レジオネラ菌問題

レジオネラ菌の正体

 福岡県の「大丸別荘」で問題になったレジオネラ菌、「年に2回しか換水しなかった」「塩素の匂いが嫌だった」「源泉かけ流しだからいいと思った」などと、なんともおぞましい事件でした。

 厚労省の発表によると、レジオネラ属菌による細菌感染症で、重症の肺炎を引き起こす「レジオネラ肺炎」と一過性で自然に治癒する「ポンティアック熱」の2種類があるそうです。「レジオネラ肺炎」は1976年にアメリカ米国フィラデルフィアにおける軍人集団肺炎として発見された、比較的新しい感染症です。

 レジオネラ属菌は、自然界(河川・湖水・温泉・土壌)に生息する細菌で、60種類ほどあるそうです。感染すると全身倦怠・頭痛・食欲不振・筋肉痛・高熱・悪寒・胸痛・呼吸困難・意識レベルの低下・幻覚・手足の震え・下痢などの症状が現れ、命にかかわることもあります。感染は人から人に感染することはありません。

 感染源として加湿器や循環式浴槽などで呼吸により感染します。日本での感染者は1999年の統計以来、右肩上がりに増え続け、2017年には約1700人の方が感染したそうです。お年寄りや新生児、免疫が低下している人に感染しやすいようです。まだ記憶に残っている方も多いと思いますが、2002年7月、宮崎県日向市の日向サンパーク温泉「お舟出の湯」で60代の女性など7人が、鹿児島県東郷温泉「ゆったり館」で、レジオネラ菌感染者が相次いで亡くなり騒然となりました。そこで私は事実確認のため宮崎・鹿児島の行政・保健所機関・医療機関・温泉の当事者に取材へと向かいました。

 レジオネラ菌事件としては、過去ブームとなった24時間風呂などがありますが、死者を出したケースは2000年6月の茨木市石岡市の市営温泉で、3人の方が感染し亡くなって以来、宮崎県の日向市の場合は7人の死者を出したという、過去最悪の事態を迎えていました。「オープン以来、浴槽の水をほとんど換えていなかった」という認識不足が原因だという声が多くの方の意見でした。この時のレジオネラ菌は国が定める基準値(100ミリリットル中10個未満)の15万倍というから、大丸別荘の場合の3700倍に比較しても、目を疑うものでした。大丸別荘の場合も3700倍のまま推移して増加すれば、もっと大変なことになっていたでしょう。

 レジオネラ菌は自然界の中で、水や空気中、湿った場所に生息しています。温泉施設では35度前後のお湯で繁殖しやすいそうで、これを避けるための対策として、加熱タンクで一度60度以上に上げるか(一般的に60度以上にすれば、レジオネラ菌は死滅する可能性が高いといわれています)、もしくは塩素(次亜塩酸ナトリウム)による殺菌、お湯の頻繁な交換、頻繁な清掃が指導されているそうです。山口県の長門湯本温泉の共同浴場「礼湯」もレジオネラ菌が発覚して以来、72度の高温加熱で処理しているそうです。

 私は数多くの温泉施設を取材してきましたが、ほとんどの旅館や日帰り施設は、本当によく清掃しています。それは大変なご苦労であることは間違いありません。掃除するだけで汗をびっしりかいて、くらくらするような熱気に頑張っています。一部の認識不足による管理者が、今後気持ちを新たにして実行していってほしいと思います。また我々は清掃がよく行き届いているか、特に壁や岩の間などがぬるぬるしていないか、気をつけて見ていくしか方法はありません。

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